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法律知識「新型コロナウイルス 」

経営者保証の問題(経営者保証ガイドライン)

1.保証人としての個人責任

 

新型コロナウイルスの感染拡大により経営に大きな影響を受け、事業の継続のために金融機関に債権の一部放棄を依頼しないといけない、さらには事業の継続自体を諦めなければいけない、という事態に至ることも残念ながらあります。

 

このようなとき、経営者は保証人として個人責任を果たさなければいけませんが、そのことを大変不安に感じておられる方も多くいるのではないかと思います。

 

確かに、かつては会社が債務超過で廃業する、典型的には破産する場合、保証人も破産を余儀なくされていました。しかし、平成25年12月に「経営者保証に関するガイドライン」が策定公表された以降、保証人は、一定の条件のもと破産することなく保証債務を整理できるようになりました。

 

経営者保証ガイドラインは保証の問題で悩む経営者にとって、とても有意義な、非常に良い制度です。

保証で悩む経営者の方には、是非経営者保証ガイドラインをご理解頂き、ご活用頂きたいと思います。

 

 

2.経営者保証ガイドラインの概要

 

経営者保証ガイドラインは、保証人である経営者と金融機関との間の保証に関する私的なルールです。

法的拘束力はありませんが、金融機関において自発的に尊重され遵守されることが期待されています。

 

◆経営者保証ガイドライン・パンフレット(出典:経営者保証に関するガイドライン事務局ウェブサイト)

https://hosho.go.jp/pdf/pdf01.pdf

 

経営者保証ガイドランは下の図のように3つの場面で活用されます。

 

【図】経営者保証ガイドラインの活用場面

 

 

①資金調達時の活用方法    ・・ 経営者保証に依存しない融資 ≒ 無保証での融資

②事業承継時の活用方法    ・・ 前経営者の保証契約を解除 and/or 後継者と保証契約を締結しない

③事業再生・廃業時の活用方法 ・・ 保証債務の免除(=破産回避)

 

今回ご説明するのは、③事業再生・廃業時での活用です。

 

③事業再生・廃業時に活用される経営者保証ガイドラインは、

・利用要件を満たす保証人が、

・対象債権者(主として金融機関)全員との合意に基づき、

・経済合理性の範囲内で、破産よりも多くの資産を手元に残し、

・保証債務を一部弁済することで(または弁済なし)、

・残る保証債務の免除を受ける

制度と言うことができます。

 

つまり、経営者保証ガイドラインにより金融機関と合意できれば、破産することなく一定の資産を手元に残しつつ保証債務の整理をすることができるのです。

 

 

3.経営者保証ガイドラインが使える方

 

このように非常にメリットの大きい制度ですが、誰でも使えるわけではなく、一定の要件が定められています。

 

【利用要件】

(1) 以下の全てを満たすこと

① 主債務者が中小企業

② 保証人が経営者等(第三者保証人も利用可)

③ 主債務者と保証人が誠実な弁済・適時適切な情報開示をしていた(例:粉飾がない。ただし粉飾があっても認められる場合あり)

④ 反社会的勢力でない

⑤ 主債務者が債務整理手続を行う(主債務者の処理を放置はNG)

⑥ 債権者に経済合理性がある(破産よりも回収が増えるなど)

⑦ 保証人が財産隠匿・不利益処分、特定の債権者のみ弁済、射幸行為、 詐術での信用取引などの不誠実な行為をしていない

 (2) 債務が金融機関の保証のみ、または概ね金融機関の保証(金融機関の保証以外の債務が多額・多数でない)

 

大まかに言うと、経営者保証ガイドラインが使えるのは、誠実な経営者であって、債務が金融機関の保証のみか多くが金融機関の保証の方と言うことができます。

 

したがって、事業の存続のために経営者個人で借入(カードローンや消費者金融など)を多く行ってしまうと、経営者保証ガイドラインを使うことが難しくなってしまいます。この点は十分ご注意ください。

(個人の借入があってもガイドラインでの整理の余地はありますが、借入先や金額が増えると成立の難易度は高くなります)

 

 

4.経営者保証ガイドラインで残せる資産

 

経営者保証ガイドラインでは、一定の条件を満たせば破産よりも多くの資産(これをインセンティブ資産といいます)を手元に残すことができます。その目安は下の図のとおりです。

 

【図】経営者保証ガイドラインで残すことのできる資産(目安)

 

 

ただし、インセンティブ資産を残すためには条件があります。

会社を清算する場合、下の図のように、今会社が清算した場合と将来清算した場合を比べて、今清算した方が債権者の回収額が増加したといえる範囲内でしかインセンティブ資産は認められません。

 

【図】インセンティブ資産が認められる範囲

 

 

具体例でご説明します。

 

・今清算した場合の債権者への弁済見込額  100万円

・将来清算した場合の債権者への弁済見込額   30万円

・回収見込額の増加額             70万円(100万円‐30万円)

→ インセンティブ資産は70万円までしか残せない

→ 99万円+70万円=169万円が残せる資産の上限

 

つまり、この事例では仮に500万円の資産を持っていたとしても、169万円しか手元に残すことはできず、残りの331万円は債権者の弁済に充てなくてはいけません。

経営者保証ガイドラインを使えば当然にインセンティブ資産が認められる、特に華美な自宅が残せると誤解されている方も多いので、十分注意してください。

 

 

5.経営者保証ガイドラインを活用した生活再建

 

インセンティブ資産が認められるためには一定の条件があるものの、仮にインセンティブ資産が認められないときでも、経営者保証ガイドラインを利用すれば破産することなく保証債務を整理することができます。

このことだけでも経営者保証ガイドラインを使う大きな意味があります。

 

経営者保証ガイドラインが利用できる方は、是非ガイドラインを利用して生活再建を果たし、次へのスタートをきって頂きたいと切に願います。

 

当事務所では経営者保証ガイドラインの取扱い実績が多数あります。

保証でお悩みの方は是非当事務所までご相談ください。

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